歴史の流れをつかむ(臨時掲載)

歴史の流れをつかむとは・・・。
 
 歴史上の1つ1つの事柄を「点」としてとらえるのではなく、「線」としてつないでいくことです。教科書の「拾い読み」は禁物です。ましてや「丸暗記」など論外です。

 例えば、鎌倉時代だと、

1192 源頼朝が鎌倉幕府を開く  ・・・点Aとする
1219 北条氏の執権政治が始まる ・・・点Bとする

 平面上の、2点 ・              ・
            A              B

 拾い読みや知識の詰め込みでは、歴史上の事柄は、単なる点の羅列(られつ)に過ぎません。丸暗記で乗り切ろうにも、暗記すべき「点」がやたら多くて、点と点との順序など覚え切れません。バラバラになってしまうんです。
 年号をよく見てください。この間、23年もあるんですよ! 中学生諸君は12~15歳。君たちが生きてきた時間よりも長い月日が経過しているのです。いろいろなことが起こって当然です。それらをすっ飛ばして、点と点がつながるわけないでしょ!


 「点と点との間を埋める」。歴史の流れをつかむとは、こういうことなんです。

 教科書では、2点A、Bの間に、もう2つ点が用意されています。

    源頼朝が鎌倉幕府を開く → ? → ? → 北条氏の執権政治が始まる

では、どうなっているか?

源頼朝が鎌倉幕府を開く → 頼朝が死ぬ → 幕府の主導権争い → 北条氏の執権政治が始まる

これで、「鎌倉幕府は、頼朝が生きている間は彼が主導権を握っていたが、死後、争いが起きて、実権が北条氏に移ったんだな」という「流れ」が、一つの「線」としてつながったでしょ。
 

 ここまでは、教科書というごく一般的な素材を活用した、ありきたりの説明です。行き着く先は、「教科書をしっかりと読む」という、平凡な結論になってしまいました。ようするに、教科書の本文は、「歴史物語」のダイジェスト版のようなものですから、無駄なものはひとつもありません。

・・・これじゃあ、面白くもなんともないって? じゃあ、少し「考える学習」を。

 教科書のこの部分は、

「頼朝の死後、幕府の主導権争いをへて、実権は有力御家人の北条時政(頼朝の妻政子の父)に移りました。北条氏は、将軍の力をうばって執権の地位につき、これを独占するようになりました。」

とあります。ここまで読んで、何か疑問に思ったことはありませんか?

・幕府の主導権争いって、どんなことが起こったんだろう?
・執権って何だ?(石鹸とは違うらしい・・・)

さらに深読みすると、
・頼朝の死後、その息子たち(2代将軍頼家、3代実朝)はどうなったんだ?

とか、いろいろなことが浮かんでくるでしょ?(ホントは私がこんなこと書いちゃいけないんだ。君たちが考えないと・・・。だから、みなさんは教科書の他のページを読みながら、いろいろと考えてください)。

これらの疑問点を解明すれば、2点AB間が、完全な「1本の線」となって見えてきます。

そのためにどうすればよいか?

インターネットという便利なものがあるのですから、上記の人名をキーワードに検索すれば、サイトはウジャウジャ出てきますよ。「パソコンばかりやってて、ちっとも勉強しない」とか、親にグチグチ言われている人、ネットが学習に役立つことをアピールするいいチャンスです!

これらの疑問点の詳しい説明は避けます。マニアックな歴史コラムになってしまいますから。

個人的に2つだけ。

・北条時政は、その行動だけを見れば、幕府を自分の思い通りに操るために「孫」さえも殺した、とんでもないジーサンだ。けど、昔は、権力を手に入れるのに肉親を殺したりなんて、むしろ当たり前だったんだ。みんなは今に生きててよかったね!(もっとも、現代では、もっとチンケな理由で孫を殺そうとしたバーサンがいたような・・・)。

・私は、中学のとき、源頼朝の子孫は生き残ったのかというテーマに執着し、あらゆる書物をひもといて、頼朝の子ども(男子)をあと3人(うち2人は伝承)、頼家の子どもを4人まで捜し当てました。

暇だからこんなことをしたのではありません。興味を持ったからです。学問というのは、そのすべてが「興味の対象」となり得るもの。どんな科目においても、まず、いろいろなことに疑問を感じてください。そして、それらを解決しようという「欲望」を抑えないでください。疑問と欲望は、やがて興味へと発展していくでしょう。


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